熊本地震支援活動報告~社会的孤立を防ぐ情報発信の方法を考える〜

私がみなし仮設の方々からお話を伺うようになってから、公的に所在地が分かる仮設住宅とは形が違い、個人情報保護の観点から点と点で点在している社会的孤立が起きやすい課題を抱えているのだろうという認識が変わった。  

お話を伺ううちに、みなし仮設を選択された方の課題や展望を見ると、他のスタッフが記述しているように「障がいや乳幼児、ペットがいるから集団生活ができないのでみなし仮設を選択した」など、常時なら福祉や行政の介入が必至の方が「他者に迷惑をかけたくない」といった想いから2年後に家賃が発生するのを承知で選択された方が少なくない。  

 

それに、みなし仮設を選択された方はほとんど前述の理由で仮設住宅が設置される前に申し込みしている事例が多いと感じる。しかし、避難所など情報が集まりやすい場所から離れてみなし仮設に移動した場合、常時に福祉や行政の介入が必要な方が情報にアクセスないとどうなるか――  手続きに関してインターネットが使える方ならいつでも情報が得られるが、高齢者やインターネットを利用していない世帯は、広報などの紙媒体が主になってくるし、益城町から離れて他の市町村で生活している方は、役場に申し込まないと広報も届かない。  

 

みなし仮設のある世帯の方から聞いたところでは「役場に電話したら『ホームページをご覧になってください』と真っ先に言われた。インターネットがあったら聞かないのに。仮設住宅はイベントがあったと後で聞かされるだけで、情報が置いていかれる」と仰る方もおられた。  

昨今、IT技術の発達によって情報の取得方法が多様化しているように思えるが、媒体の選択は個々人の責任と捉えられている。  

 

しかし、常時でないからこそ発信する側が色々な状況を予測して対応できるよう、システムの構築を考えていきたいと訪問しながら思うようになった。

 

DSCF9375

(写真はイメージです。記事とは関係がありません)