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2016414日熊本に大地震が発生した。

あの日は、昼間は普通に仕事をし、夜のセミナーに参加していた。そこまでは、なにも変わらない普通の日を過ごしていた。

セミナーが終わり友人と歩いて帰っていた。

そんな中、突然地面が揺れた。

最初はなにがなんだか分からずにいた。



急いで家族に電話をし、安否を確認した。

その時、家族は震源地の近くで子供を寝かせる時だった。


余震に怯えながら、車を急いで走らせた。

あの日から熊本の生活は一変した。


大地震から2年が過ぎた。


私からは、「節目」という2年ではなく、「分岐点」という視点で感じていることを書きたいと思う。

1.被災者にとっての2年

災害救助法により、応急仮設住宅の供与期間は「原則2年」を定められてる。

つまり、プレハブ仮設、みなし仮設に仮住まいしている人にとって、2年を過ぎた段階で、次の住まいへの引っ越しがよぎなくされる。

熊本の災害支援においても、ここが適用されて、「仮住まいでの延長」に対して条件がついた。

 

基本的に大多数の方が延長を認められることになっているが、この「条件付き」というのはとても大きい。

延長を認められなかった人にはもちろん、延長をできた人にとっても。

 

というのは、「常に1年更新」が今後やってくるということだ。これは精神的にとても影響が大きい。

ある聞いた話によると、延長を認められる人であっても、市営住宅への引っ越しを決断された方がいらっしゃるという。

 

「毎年毎年更新のために行政への手続きをしなければいけないし、その都度延長されるかどうか不安になる。そんな不安を抱えながら仮住まいを生活していくよりは、早く長い期間住み続ける家を探して引っ越したほうが良い」

 

ということであった。みなし仮設に住んでいれば、家賃は補助されるにも関わらず。

一つの事例ではあるが、この話を聞いたときに、被災者の方は精神的にとても追い詰められてきているであろうと感じた。

 

2.支援団体にとっての2年

災害後、熊本県内でも数多く立ち上がった支援団体、そしてボランティア活動。

今ふと周りを見渡せば、どれだけの支援団体が継続しているのだろう。

 

県外から来ていた人たちは地元に戻り、県内の人たちでも、支援団体を離れ次の仕事についている人達もたくさんいる。

支援活動が必要なくなったわけではない。なくなってはいないが数はだいぶ減ってきている。

 

一番大きいのは「資金面」だ。震災後からこれまでは、いくつかの地震関係の助成金があり、その助成金をもとに多くの団体が活動していた。

2年という期間がたち、この助成金もほとんどなくなってきた。つまり、支援している人自身とっても、生活費を得るための選択に迫られている。

 

20184月になって、「支援活動から撤退します」という連絡をいくつも受けた。

もちろんニーズがある限り活動は続けたいという気持ちはあると思う。ただし、そこには活動費が必要だ。

 

資金面だけでなく団体運営としても大きな岐路にたたされている。

「支援活動」というだけでは、既に団体としての意義は薄れてきている。つまり、目に見える支援活動が大きく減ってきているということだ。

 

「コミュニティ支援」「社会貢献活動」

こういった、震災支援活動から次のフェーズへの活動シフトが団体運営そのものにも迫られている。

震災支援活動を通して見えた「社会課題」。ここで見えた課題を解決に向かうための活動もこれから必要になっていく。

そういう変化を起こすにしても、専門的なスキルはどうするのか?スタッフはどうするのか?運転資金はどうするのか?

 

ここが団体に問われている。


ーーー

このように、「熊本地震から2年」という言葉には、単なる2年という月日ではない、とてもとても大きな分岐点になっているのだと感じる。

 

今の大きな支援ニーズは、「生活再建(引っ越し支援)」と「コミュニティ構築支援」だ。

避難所から多くの人が仮住まいにうつった時と同じように、今度は仮住まいから恒久的な住まいへの引っ越しが始まっている。

 

人が動けば、そこにはコミュニティの再構築がうまれる。

これまでプレハブ仮設のみんなの家で作られてきたコミュニティは、引っ越しによって薄れていく。

残っている人は「取り残された感」を感じる人もいるだろう。引っ越した人は引っ越した人で、その人達は新たな地で新たなご近所づきあいが始まる。

 

自分が住む環境を変えたときのことを想像してほしい。

同じアパートに住む人、ご近所の人、新たに人間関係をつくっていくためにどれだけパワーがいるか。

ただでさえ、これからの生活に大きな不安を抱えた中で。


しかし、これから「暮らし」をしていく中で、地域コミュニティはとても重要だ。

人付き合いが面倒だからといって、住んでいる地域で人付き合いがあるとないとでは大きな差がある。

 

普段の生活におけるちょっとした会話、何気ない立ち話、そんな時間で人は落ち着いたり、安らかな気持ちになる。

私達は現在「みなし仮設」の交流支援を主にやっているが、この時間がどれだけ求められているかを感じた。

こんな何気ない時間をどれだけの人が求めているのか。どれだけの人がそれで次に向かって生きていけるのか。


「回復力の回復」

私達は、ここを意識して活動を続けていこうと思う。

やっていることが目に見える支援ではないかもしれない。今住んでいるところで、人がつながり会話が生まれること、それが被災者にとって、「回復力の回復」に少しでも力になればよいと思う。



よか隊ネット熊本も活動開始から2年がたち、大きな岐路に立たされている。

団体運営の継続は目的ではなく手段。

これまで活動してきた中で得られた経験、つながり、ノウハウ、これらをこれからの熊本に活かすためにがんばっていく。

 

2018年1月31日(水)に、よか隊ネット尾ノ上事務所にて、みなし仮設交流活動「つながるCafe」を実施されている方々を中心に、「被災者の方々のコミュニティ支援活動」について話し合う場を設けました。

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よか隊ネットとして、1月6日に「みなし仮設・在宅被災者向け交流会」を実施し、参加者の方々に対してアンケート調査を行いました。

交流会の目的として、今の熊本の被災状況を知ってもらい、被災者同士の繋がりが今後は必要になってくるので横のつながりをサポートする動きが必要であることを知ってもらうためです。

 

アンケートには、

  • まだ、このような被災の状況があるとは思わなかった。
  • 県内全域で被災者交流の場をもっと拡げるべき
  • 既に小さく始めている
  • 何かお手伝いができることがあれば手伝いたい

等々、たくさんのありがたい意見を頂きました。

 

今回、このようなアンケートをもとに、支援団体として何ができるかを話し合いました。

よか隊ネットでは、昨年から地域交流サロン活動として、「つながるCafe」を地域活動団体として実施してきました。

お陰さまで、県内で20数団体の方にご協力頂き、拠点ごとに月に1,2度開催しています。

 

地道な活動が地域に拡がり多くの方が参加されているところもありますが、まだまだ必要とされている方々に届いていないのが現実です。

 

今回、私たちは、「被災者同士の横のつながり」にフォーカスをあて話し合いを行いました。

 

地震から間もなく2年が経ちます。住まいの再建も進み、プレハブ仮設、みなし仮設から引っ越しをされる方も増えてきます。

ここで問題となるのが「地域コミュニティ」です。

また新しくプレハブ仮設に移られる方もいらっしゃいます。その方が、これまで住まれていた人達との交流を持つのはとても難しいです。

また、みなし仮設の方々は、まだまだ住み慣れていない、地域とのつながりのない場所に住まれている方々は多くいらっしゃいます。

 

会議の中で貴重な意見がでました。

「住んでいる場所という地理的なコミュニティだけでは引っ越しごとに常にコミュニティの再構築が必要になる。地域での繋がりだけでなく、趣味などで繋がったサークル活動が今だからこそ必要なのではないか」

 

今回、みなし仮設の方にも参加していただきました。この方は「ものづくり」を趣味とされています。

この方がおっしゃいました。

「同じような趣味を持った人達で集まって、自分の趣味であるものづくりで、みなし仮設の方の生活の不便なところを解消したい」

 

是非ともサポートしたいと思いました。

 

また会議の中ではこんな意見が出ました。

「自分は一部損壊。他にはもっとひどい方がいらっしゃるのに、自分は被災者と思って良いのだろうか」

 

熊本では多くこのような言葉が聞かれます。「自分よりもっと大変な人がいらっしゃるから」

 

今後は、「被災者」と「支援者」という線引ではなく、住民一体となった人と人とのつながりを、いろんな人達と共に考え活動していきたいと思います。

 

 

熊本市社会福祉協議会主催の東区ふれあいいきいきサロン研修会で講演を行ってきました。

 


日時:平成30年1月18日(木)13時30分〜15時30分

場所:熊本市東部交流センター多目的ホール

内容:
(1)「少子高齢化からの地域課題」〜これからの地域に必要なコミュニティとは〜

     逢桜の里 副代表 西原明優様

(2)「熊本地震から見えてくる『地域のつながり』の大切さ」 

     よか隊ネット熊本 事務局長 土黒功司

 


 

熊本市東区の校区社会福祉協議会の関係者70名程にご参加頂きました。

 

よか隊ネットからは、

  • 熊本地震発災後からの震災支援フェーズの移行
  • 今一番の課題「被災者の孤立」
  • よか隊ネット熊本としての支援活動「つながる広場」「つながるCafe」
  • 「つながるCafe」から地域資源へ
  • 熊本地震からの「既存地域資源」と「震災支援からの地域資源」の融合

に関してお話させて頂きました。

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逢桜の里 西原さんの発表の様子

地域の世代間交流を深めるための「地域食堂」を展開されています。世代間交流を通して、地域のネットワークづくりを行い、地域課題の解消を行うことを目指されています。

相対的貧困のお話、高齢化社会の課題等のお話でした。

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 発表後の質疑応答

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参加者の方からは積極的な質問を頂きました。

  • 交流の場に出てこない人達への呼びかけは
  • 場は準備しているが、そこでいざ活動を行っていくためにはどうしていけばいいのか。
  • それぞれの世代のライフスタイルが異なる昨今、どのように世代間交流を拡げてばいいのか。

 

よか隊ネット熊本としては、

  • 実施者は決して無理をしてはいけない。実施者が如何に楽しくやるか。そして実施を抱え込まないこと、地域のいろいろな人と繋がり、実施者同士の連携を行っていくことが大事。
  • 地震後、いろんな市民団体が立ち上がった。これまでやられている既存の活動と、新しく立ち上がった市民団体の融合がこれからは大事。そこに実施者同士の世代間交流も生まれてくる。
  • 1人で抱え込まないこと。今回のような研修会を通して、同じ課題を抱えている人、同じ目的を持っている人が出会い、そこで力を合わせていくことが大事。

といったお話をさせて頂きました。

 

今回、よか隊ネットとしてもとても貴重な機会を頂きました。

今回の出会いをきっかけに、またいろんな活動の広がりをつくっていきたいと思います。

熊本地震からのまちづくりへ。これからもがんばっていきます。

 

 

 

 

2017年10月19日(木) 託麻公民館ホールで開かれた 「子ども・地域食堂の作り方・手伝い方〜地域の「集いの場」を一緒に作りましょう〜」によか隊ネット熊本として参加・登壇してきました。

 

話して来た内容は、「みなし仮設」居住者向け交流企画として行っている「つながるCafe」です。

 

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会場には、市内、市外から多くの興味を持ってくださった方が参加されていました。

よか隊ネット熊本の他にも、地域で「子ども食堂・地域食堂」を既に活動されている団体も一緒に登壇されました。

 

熊本地震を経て、「交流」というキーワードが熊本県内各地で聞かれます。こうやって、活動に興味を持って頂ける方がいらっしゃってとても励みになります。

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よか隊ネットとしても、今一番重点をおいて活動しているのが「交流」というキーワードです。

震災によって多くの方々が被災されましたが、特に「みなし仮設」に住まわれている方は、地域からの孤立、支援からの孤立という状況に置かれていると強く感じます。

そのために、まずはそれぞれの地域毎に「交流」できる場が必要です。「交流の場」であれば、特に専門知識を持った方ではなく、たくさんの人が少しずつの力を合わせるだけで、作り上げることができます。

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そういった地域の小さな交流の場作りが、震災を経てこれからの熊本での地域資源となっていけばよいと強く感じています。

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私達の発表のあとは、参加者で3つのグループに分かれて、グループ毎での自己紹介、意見出しを行いました。

子ども食堂に興味をもって参加されたかた、自分でも何ができることがあるのではないかと思って参加された方、いろいろな方がいらっしゃいました。

 

託麻公民館としても、これから「交流の場」作りを行っていくそうです。

公民館はただの「場」、そこにいろんな人が集まって、その人達で力を合わせて地域の交流の場が作られていくことを強く望みます。

よか隊ネット熊本としても、その活動を全力で支援していきます。