八代市西部地区にある、西部多目的集会所で開催された「建築相談会」にお邪魔して、「お茶どころ」を開催させて頂きました。思い返せば、西部多目的集会所は災害後から物資拠点として活用されており、何度か支援物資を運ばせて頂きました。今は市に返還され、通常の市からの貸し出し施設となっています。施設自体は一見すると、水害を感じさせてないくらい綺麗に清掃されています。しかし、実際は1階屋根近くまで水がきたそうで、今後は床を剥がしての修復作業が予定されているようです。
熊本県建築士会八代支部が開催している「住まいの相談会」
八代市内の各所で被災された方に向けて開かれている建築相談会。「よか隊ネット熊本」としては9月での藤本地区での開催に続いて2回目のお茶出しです。
この日は、天候もちょうどよかたので、西部多目的集会所の前の駐車場にタープテントを広げ屋外での「お茶どころ」スペースを作らせて頂きました。
気温もちょうどよく、坂本の雄大な自然を眺めながらのお茶スペースです。何度来ても、ほんとうにいい場所です。
なぜ、「お茶どころ」を開催するのか?
建築士会からのお誘いで「お茶どころ」を開催させて頂いているのですが、私達はこんな考えで開催させてもらっています。
- 「相談会」にスムーズに気持ちが入っていけるためのお手伝い。
- 「相談」というと、もしかすると気持ちが固まってお話に向かわれる方がいらっしゃるかもしれません。緊張せずに気持ちよく専門家の方と話に入れるように、まずは会場でほっと一息。お茶とお菓子で気持ちを和んでもらうことで、リラックスした気持ちで相談の時間に入っていってもらえるように。
- 「相談待ち」の時間のつなぎ。
- 専門相談は、一件あたり長い時間を要するときがあります。(この日も、相談のあとに現地の場所まで専門家の方が同席されていました)。そんな時の時間でもゆっくりと時間を過ごしてもらうため
- 「人と人とのつながり」をつくるため
- ここが一番の目的なのですが、災害支援では、私達は「人と人とのつながり」が一番大事なんだと思っています。災害によってたくさんの大事なものが失われます。いろんなものと、そして思い出と。支援者として何ができるのか?微々たるものですが、災害後の「人のつながり」を新しいつながりを一つ一つ生んでいくことなんだと思います。「支援者」と「被災者」というつながりももちろんですが、「被災者」と「被災者」、「支援者」と「支援者」、いろんなつながりが生まれればいいなと思って「お茶処」を開催させてもらっています。これから、どんどん複雑化していく被災の課題。そういった時に「支援者同士」のつながりというのもとても大事になってきます。複合的な支援のカタチをつくっていくため、まずは顔を合わせて話す時間が必要です。そんな時間をつくることも、この「お茶どころ」の目的の一つです。
この日は、
- 緑茶(ホット・アイス)
- ほうじ茶(ホット・アイス)
- コーヒー(ホット)
そして、お茶菓子と、宇土から持っていった「小袖餅」をご提供させてもらいました。
被災地から被災地へ
私達が開催する「お茶どころ」で提供するお茶は、益城町の「お茶の富澤」さんのところのお茶をご提供させてもらっています。よか隊ネットは熊本地震で発足した団体です。熊本地震で知り合ったのが、「お茶の富澤」さん。益城町の上小谷地区は熊本地震で甚大な被害を受け、擁壁が大きな問題となりました。地震の痛々しい爪痕が残る地区ですが、店主の富澤さんは、力強く地域の復旧活動に尽力され、「Greentea.lab」をオープンされており、今では大人気のお茶屋さんになっています。
私達は、この益城町で起こっている「災害からの復興」のパワーを、少しでも豪雨の被災地にお届けできればと思っています。
ご提供しているお茶がこちら。「ティーバッグ」タイプで、今回のような簡易的なお茶出しの時にでも、簡単に本格的なお茶をお出しすることができます。簡単に作れますが、「本格的なお茶の香りが楽しめる!おいしい!」ご提供した方が皆さんが口をそろえておっしゃいます。本当に、素晴らしいお茶をありがとうございます!
ティーバッグと氷をボトルにいれ、シャカシャカ。たったこれだけ。笑
コーヒーはちょっとだけこだわりでドリップで(笑)。豆は市販の豆です。
離れた地域からの支援
今回のお茶処は「チームうと」と協働開催させてもらいました。宇土からは、「小袖餅」を朝から買っていきました。「小袖餅」は前回お邪魔したときも持っていったのですが、大好評。宇土にゆかりのある方には懐かしがってもらっています。
そして今回は、「チームうと」が新たに取り組んでいる支援の一つを運ばせてもらいました。それが「手作りの座布団」です。(長椅子にはサイズが合っていなくてスミマセン・・)
この座布団は、宇土市老人クラブ連合会の会員の皆さんの手作りの座布団です。
「私達ももう少し若ければ、現地にいって支援活動ができるんだけど、、、。歳も歳だし、自分の運転で被災地まで行くのはちょっと難しい、、なにかできれば・・」という声が出ていたので、それでは!ということで、支援金から座布団の材料を購入し、素敵な座布団を作って頂きました。
お茶の時間のときを少しでも気持ちよく過ごしてもらいたい、そして、ご自宅でも。そんな思いがたっぷり詰まった座布団です。
今回ご参加して頂いたかたに、「いかがですか?」と声をかけると、喜んで持って帰っていかれました。ある方は仮設住宅で、ある方はリフォーム中のご自宅で。すべてのものが流されてしまった豪雨災害。少しずつものは増えていっているようですが、みなさん「座布団」はまだのようでした。
ある方は、「なんとか片付いたキッチンでもらいもののテーブルで食事を済ませている。床が少しずつ冷たくなってきたから、座布団があるととても助かる」とおしゃっていました。ほんの少しですが、、、これでちょっとでも落ち着いた食事の時間をとってもらえれば・・・
今回、座布団をお届けさせていただいて、「あー、こういった形で被災地にいかなくてもできる気持ちを届けることはできるんだなー」と感じました。気持ちを届ける役目を果たせることができて、ほんとうにうれしいです。
被災者の今
今回ご参加された方に、少しだけお話をお伺いすることができました。
- 今はみなし仮設に住んでいる。災害後、避難所に移り、すぐにみなし仮設に。もうしばらく、自宅を見ていない。自宅を見るのが怖い。でも、そろそろ家を見なければいけないので、建築士さんに相談に来た。(相談のあと、建築士さんがご自宅に動向されていました)
- 建設型の仮設に住んでいる。ほぼ、毎日仮設から自宅に作業のために帰っている。仮設の「みんなの家」でも少しずつ集まりの機会ができてきている。でも、住まいのある「西部」の方にどうしても足を運んでしまう。家は全壊判定で、建て直しが本来必要なのだが、家裏には崖が空く近くにあり、新しく家を建てようとすると、建築基準に引っかかってしまい、家を建てることができない、リフォームでいいのか、、、また大雨が降ったときのことを考えると、引っ越したほうがいいのか、、全く決めきれない
- 水害にあったが、2階は無事だったので、2階部分で過ごしている。まだまだこれから家の壁ゴミとかが出てくるが、ゴミ集積場がどんどん閉鎖や移動されているので、この先出てきたゴミをどうしていけばいいのか心配。家のリフォームを考えていて、建築業者との話を進めているが、これからの災害の事がどうしても心配。お金をかけてしっかり仕上げたとしても、またいつ同じような水害が発生するかわからない、もし、もう一回同じようなことが起こってしまったら、もう私はがんばれないかも・・・
- 屋根部分まで水がきて、必死に泳いでヘリで救出されて、今はなんとか生活できているが、つらい。こんなにつらいんだったら、「あのときいっそ、死んでおけばよかった」といったことも考える
一人ひとりとお茶を飲みながらお話させて頂きましたが、本当に大変な思いをされていることが節に伝わってきました。
ほんのちょっとだけ
ほんのお気持ちですが、、、まだまだゆっくり食事も作れないかたもいらっしゃるということで、お気持ちばかりのあさげとゆうげ
復興支援団体チームHub-uchi(ハブウチ)名物のやぎちゃん
まわりの草をずっと食べていました。
集まったスタッフも、参加された被災者の方も、このやぎちゃんにめちゃくちゃ癒やされていました。犬や猫もいいけど、、、ほんと、やぎもありだな・・・
これから寒くなってきますが、これからもできる限り「お茶どころ」を開催していきたいと思っています。
気軽にお声がけください。平日での週末でも、どこへでも向かいます。(笑
※本活動は、「パルシステム連合会」様からの助成金を活用して活動させて頂いています。