団体概要
団体名 | NPO法人 みるくらぶ |
代表者指名 | 市原 実幸 |
連絡先:氏名 | 市原 由美子 |
住所 | 〒861-8028 熊本市東区新南部6-2-63 |
TEL | 090-7382-8688 |
HP |
団体説明
みるくらぶの究極の目標は『安寧』な社会の創造。
安寧とは穏やかな気持ちで生活を送ることが可能な社会とされています。みるくらぶの活動は、一人ひとりの存在が否定されることなく、程よい関係が維持され、困ったときには相互にたすけあいができるような、つながりのある社会となることを想定して行われています。 子育て支援から始まった支援は広がりを見せ、家庭支援・地域のコミュニティ支援など、ひとり一人に必要な支援は何かを考え、継続活動されています。
団体設立のきっかけ
みるくらぶを立ち上げた市原由美子さん(現事務局長)は、地縁もない、友達もいない土地での出産・育児を経験。一日中、誰とも話をしていない、外にさえ出られない日もある、社会からの疎外感・・・『孤独な子育て』の日々だったと話します。そんな自分自身の孤独で閉塞した子育て経験から、同じような思いを持つママたちと1993年(平成5年)12月、現在のNPO法人みるくらぶの前身である「子育てサークルみるくらぶ」を立ち上げられました。
「みるくらぶ」の名前の由来は、2つの意味を持たせてあり、一つは女性の視点で「みる」ことで社会の見直しをする「くらぶ」。もうひとつは「みるく」をおっぱいをイメージし、親子の情愛、人と人との温かい交流による精神的満足感を味わう「愛」の「らぶ」。 この名前には女性・母親・親子・子どもへの精神的・社会的支援の思いが込められており、母親の精神的な癒しと自立を進めることで子どもたちの健やかな成長を育むことを目標にして、子育て支援活動から始められました。
震災前の活動
1993年の設立時より「親子の居場所を創る」「子どもの健全育成」を掲げ、継続活動されていましたが、1995年(平成7年)に転機を迎えます。それはある一本の電話でした。
当時は、まだDV(ドメスティックバイオレンス)という言葉もあまり知られておらず、暴力を受けるのは妻の行いが悪いからだ、と言われていた時代でした。夫からの暴力を受け続け、周りからも「あなたが悪いから仕方がない」と我慢を強いられていた女性が、ある夜SOSの電話をかけてきたことが契機になったそうです。由美子さんが駆け付けて玄関を開けると「おばちゃん助けて!」と子どもが泣きながら飛び出してきたそうです。暴力を振るわれ、けがをした母親と、怯えている子どもの姿を忘れることはできない、と由美子さんは語ってくれました。「こんな暴力を見逃していいのか、自問自答。幸せを願い生まれた子どもたちの為にも、何かできることはあるのではないだろうか・・・」と考え、活動を開始。2001年(平成13年)DV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護などに関する法律)が制定され、女性と家族の相談を受ける相談員として勤務。その後、いち早く家族全体を視野に入れた暴力のケアと予防の取り組みが行われていた海外の福祉センターで研修。
2004年(平成16年)には、みるくらぶの活動に、在宅訪問事業も視野に入れたファミリーケアを取り入れ家庭支援も開始。2007年(平成19年)には「NPO法人みるくらぶ」として法人化。親子の居場所事業、子育ての相談支援、家庭支援、学習支援、子どもや高齢者を対象にしたこころリラクゼーションなどの楽しみをプラスした講座など、現在も活動を継続しています。活動をするにあたり、メンバー自身のスキルを高めるための研鑚と、活動の必要性など常に社会状況との関連など見極めることも欠かせないと考え、由美子さんはそれに合わせた専門知識を身につけたいと、社会学の大学院に進学し3年間学びました。その後は、誰でも集える居場所として「はっぴーはうす」を設置し活動を継続しています。
震災後の活動
震災後も震災前の活動を継続、現在は地震によって特に必要となった3つの支援を中心に活動されています。
① 【親子の居場所事業】
親子の居場所として熊本市内に拠点を持ち活動されていましたが、熊本地震でその場所も被害を受け、拠点がなくなったことと、拠点で「待つ支援」ではなく、被災地へ出向くことが必要だと感じアウトリーチ型の支援に切り替えて活動を開始。被災された方と出会う機会を創り、その場で話を聴くなど心のケアに取り組むこととなりました。 子どもたちに対しては、プレイセラピーとして、楽しんで参加できるイベントを企画・実施。同時に、この場での出会いを通じて子どもたちの心に寄り添ったケアにも取り組まれてきました。(8月までのイベント開催は、46回)。 高齢者に対しては炊き出しなど食を通した時間を持ち、ゆっくり話を聞く機会を作り、一人ひとり必要な支援のニーズを聞き出し、個別の支援・巡回訪問などを行われました。この時に知り合った方たちに対しては必要に応じて、困りごとの相談や、仮設からの転居などに関する新たな生活環境への相談など継続的な支援をされています。
② 【学習支援】
避難生活が長引き、学習の遅れが心配という親の声にこたえる形で、仮設集会所を使用し子どもたちに対する学習支援を継続されています。定期的に場所と時間を設け、宿題などの勉強をはじめ、心のケアに取り組まれています。具体的には学習時間とリラックスタイムを設け、おやつを食べながら雑談などでストレス軽減と子どもたちの安否確認など見守り支援的な意味合いも含めた活動を実践されています。
③ 【こころリラクゼーション講座】
避難所から自宅再建や仮設への転居など住宅の復興が進む中、復興進捗にも個人間の差が出始め、残されていく人の不安や環境変化により、大人も子どももストレスを抱いていることが分かり、心の安定を図る機会の必要性が急務だと考え『こころリラクゼーション講座』を開始されました。ストレス軽減の為に、フラワーアレンジメントや工作など、集中して取り組むことでこころの安定を図ることにつながるとして開始され、現在も継続して活動されています。小中学校をはじめ仮設住宅や高齢者施設で実施、老若男女問わず人と触れ合うことの尊さと孤立しがちな高齢者にとっては安否確認及び認知症の予防ともなっているとのことです。
現状と助成金事業内容・活動スケジュール・今後の展望
仮設からの退去・自宅再建や災害公営住宅への転居などで被災者の生活環境も変わってきています。新たな場所での生活再建に対する精神的負担は大きく、こころの安定を図るためには、顔見知りと会える場所や機会は必要だと考えられます。 助成金事業としては、震災後から継続している3つの事業(アウトリーチによる親子支援、学習支援、こころリラクゼーション講座)を今後も継続させるために使われます。
1、アウトリーチによる親子居場所事業 月に一度(イベント時)プレイセラピーを兼ねたガラポン抽選会 と母親の相談支援 日程は未定
2、学習支援・・・毎週月曜(熊本市南区城南舞原仮設) 16:30~18:30
3、こころリラクゼーション講座
おとな対象・・・毎月第3月曜・第3木曜 御船町今城仮設 熊本市内高齢者施設
こども対象・・・月に一度(保育所や小中学校) 日程は未定
仮設住宅・みなし仮設からの災害公営住宅(復興住宅)や自宅再建、住み替えなどにより、新たな地域コミュニティの構築が必要となっています。地元の方たちと、転入してきた方たちとがつながり、新たな人間関係の構築や、みんなの居場所を作ることが必要となっています。しかし、住民同士だけでは、まだ難しいことも考えられます。 みるくらぶの現在の活動を通して、広く住民の方へ声掛けをすることにより、人と人をつなぐことができるのではないか、その為にできることを考えられています。 また、災害支援を行う民間支援団体への支援が減っていく中にあっても、このような活動を継続させることも必要であり、運営を維持していくために、スポンサーの確保やいろんな人を巻き込んだ収益を見込める事業活動なども模索していきたい、と話されています。