団体概要

団体名 特定非営利活動法人 故郷復興熊本研究所
代表者指名 佐々木康彦
連絡先:氏名 佐々木康彦
住所 〒861-2405 阿蘇郡西原村宮山123-1
TEL 080-5291-6706
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団体説明

 熊本地震以降、復興の取り組みを行う住民組織同士の横のつながりを作り、情報交換・交流を図り、学びあいの場とすることを目的に、有志により2017年(平成29年)10月任意団体「故郷復興熊本会議実行委員会」を結成。

 これまで、熊本市・益城町・西原村などの市町村の枠組みを超え、集落同士お互いの復興まちづくりの考え方や手法を学び、課題を分かち合う活動をしてこられました。 2019年4月には、地域が開かれ、多様な人と知恵が集まり、住民を主体とした「新たな価値を生み出しながら幸せを感じる暮らし」を築く。

 そして、すべての地域で持続的かつ自律的な暮らしが営まれる社会を実現する、ことを目的として特定非営利法人「故郷復興熊本研究所」を設立されました。

 

団体設立のきっかけ(代表者の想い)

 団体代表の佐々木さんは静岡の出身で大学院では住環境についての学びを深め、タイのNGOにて2年、スラムなどにおける住環境を獲得するための活動を行ってこられました。

 日本に戻り新潟にあるまちづくりコンサルタントの会社に入り2004年10月23日新潟中越地震で全村避難となった長岡市山古志村の集落再生計画を担当。その後は公益財団「山の暮らし再生機構」の一員として自治支援を取り組まれました。 熊本地震発災後、この時の経験と「官民連携の復興」を被災地に伝えるために「山の暮らし再生機構熊本地震支援チーム」の一員として熊本入り、ご自身の専門である「集落の再生・まちづくり」を生かす支援を行うため西原村にて活動を開始。地道な支援活動と地域の人たちや役場との話し合いなどを積極的に行い、2016年8月から2019年3月まで西原村復興アドバイザーとして西原村の復興再生のために活動してこれらました。

 その中で、以前から農村計画を通して共通の知人のいた熊本県立大学環境共生学部居住環境学科教授の柴田祐さん、地震後の活動の中でつながった熊本大学熊本創生推進機構準教授の田中尚人さんと共に2019年4月法人を立ち上げられました。

 

現状

 熊本地震から3年を過ぎ、住宅・生活再建については、道路や農地の復旧のめどが立ち、また個人の住宅や災害公営住宅の再建に向け着実に歩みを進めている状況であり、仮設住宅の統廃合も考慮させています。

 熊本地震の被害は、日々の暮らしの安全や生活を脅かしただけでなく、それまで地域の抱えていた課題をさらに深刻化し、潜在していた課題を顕在化させました。日本共通の社会問題である少子高齢化・地域コミュニティの希薄化や機能低下などの課題にも拍車をかけるかたちとなり、被害を受けた地域や集落の取る組むべき課題はますます多様化しています。 中山間地域では、地震により人口が流失し、集落の存続危機が問題となってきています。

 また、都市部では災害公営住宅や新たな地への住宅再建による地域コミュニティの機能低下と再構築についての問題など、お金をかけても元には戻らないものもあります。 これらの課題にすでに取り組んでいる地域もあります。そのような場所では祭りの復活や地域の若手が率先して動き出しています。 震災を機に新たなつながりが生まれたこともあります。これらを活かし、住民を主体として復興・回復の輪を広げていくことが求められています。

 

 

助成金事業内容

 以下の3つの事業を通し、熊本地震被災地の復興地域づくり支援の体制を向上させ、復興まちづくりの動きを活発化し、被災地全体を網羅する連携体制を構築させていきます。

1.復興支援を行う個人・団体にむけてのOJT事業(OJT:オン・ザ・ジョブ・トレーニング)

 すでに故郷復興熊本研究所が支援に入っている地区での支援活動に同行してもらい、地域との関係性づくり、支援者としての資質の向上に向けたトレーニングを行う。 事業対象者としては、被災地支援団体、地域おこし協力隊、集落支援員、大学生ボランティア、自治体職員、等から各回で2~3名を想定。 実施対象地区としては、熊本市南区城南土鹿野(はしかの)地区、益城町平田地区、櫛島地区、西原村大切畑地区、風当地区、南阿蘇村立野地区、袴野地区を予定。 実施時期は、実施対象地区において月に1回程度支援活動を行っており、そちらの各種活動に参加してもらう。

2.復興活動を行う地域団体及びその支援者を対象としたメンター事業の実施

 被災地での復興活動を後押しし、地域とそれを支える支援者が共に故郷としての地域を取り戻すため、寄り添いながら課題や問題の解決に向けた助言や指導を定期的に実施する。 事業実施時期は各種団体とのミーティングを2ヶ月に1回の程度行い、活動内容や地域の課題、悩みなどについての助言や指導を行う。 メンター候補者としては、以下の3名を予定している。 柴田  祐:熊本県立大学環境共生学部居住環境学科教授。地域計画、景観計画、農村計画が専門。熊本地震をきっかけに農村集落の復興に関する調査・研究を進める。益城町櫛島地区等のまちづくり協議会を支援。 田中 尚人:熊本大学熊本創生推進機構准教授。地域の風土に根ざした公共空間づくりや、まちづくり、地域学習プログラムなどにとりくむ。益城ラボ運営や益城町平田地区の復興まちづくり協議会を支援。 佐々木康彦:故郷復興熊本会議理事長。中越地震からの復興支援を行う中間支援組織(公財)山の暮らし再生機構にて長岡市山古志地域など中山間地域の復興支援に携わる。熊本地震後には西原村復興アドバイザーとして村内の集落再生事業を支援。

3.地域支援団体等を対象とした地域づくり研修会

 過去の被災地、地域づくり先進地、大学等から講師を招き、参加型プロセスのデザイン、地域住民のエンパワーメントなどのテーマごとの研修を実施する。また、参加者がそれぞれの活動を共有化し、互いの活動から学び合う場を生み出す。 2019年年8月より開催予定。年間3回の連続講座とするが、単発での参加も可能とする。参加対象者は復興に取り組む住民組織、被災地支援団体、地域おこし協力隊、集落支援員、大学生ボランティア、自治体職員、等。

外部講師(案)

阪神大震災:神戸まちづくり研究所 被災地NGO恊働センター、等 中越地震:(公財)山の暮らし再生機構 (公社)中越防災安全推進機構、等 東日本大震災:(一社)みやぎ連携復興支援センター、等 大学:熊本大学、熊本県立大学、熊本学園大学、兵庫県立大学、等

 

活動スケジュール

○2019年8月~地域支援団体を対象として月に1度のペースで地域づくり研修会を実施する。

 研修1:復興ビジョン作成OJT研修 現在NPOが取り組んでいる西原村河原地区復興ビジョンづくりに参画してもらい、地域住民の主体性の引き出し方、合意形成、についての実地研修を行う。

 研修2:集落点検と地域資源調査研修  毎月行われる集落交流まちあるきの企画立案をNPOスタッフとともに実施する。対象地域の現況調査と地域資源調査の手法を学ぶ。また、地域間の学び合いの場づくりの手法についても合わせて研修を実施する。

○2019年10月14日第3回故郷復興熊本会議開催

 研修に参加している人材と地域住民による活動発表を実施する。故郷復興熊本会議は半年に1度のペースで実施する。次回開催日時は未定。

 

今後の展望

 故郷復興熊本研究所としての役割は3つ。

 1つ目は地域自治のコーディネート組織としての役割です。縮退する地域の中で住民の「自立」は困難となってきており、これからの自治には、周りの担い手を巻き込みながらつながりの中で地域経営を進める「自律」が求められます。故郷復興熊本研究所はこの「自律型自治」のための協働のデザインの媒介となるコーディネート組織として活動を継続したいとされています。

 2つ目は、広域連携のプラットホームとしての役割です。持続可能な地域を考える上で大事な視点は、地域づくりの仕組みを単体で考えるのではなく、地域を支える様々な要素を全体でパッケージとして考えることが必要だという観点です。その仕組みを生みだし維持していくためには、様々な分野から多くの知恵を集め、広域的な繋がりの中で活動する開かれた取り組みが重要だと佐々木さんは話します。この取り組みを地域住民の皆さんと一緒に生みだし多様な地域・団体が地域の主役になれるプラットホームとしての役割を果たすと考えられています。

 3つ目は地域経営実践団体としての役割です。パートナーとして、地域と一緒に計画し課題解決の事業実施まで関わり続ける伴走型実践団体となり、収益部門で生み出したお金を公益部門に投下していく地域経営組織としての役割を果たす、とされています。