「よか隊ネット」の法人化に寄せて
昨年の4月16日、本震から数時間後の早朝、共生地域創造財団の奥田代表理事から被災者支援活動の申し出があり、翌日の夜に来熊された奥田代表他9名で、18日第1回会議を開き、翌19日の第2回会議で12団体による震災支援民間ネットワーク組織「こころをつなぐ『よか隊ネット』」を結成しました。その日の午後、車中泊されている方々を対象として1回目の炊き出しを行い、支援活動がスタートしました。「最も小さくされた人々に偏った支援を行う」を活動理念として、行政から取り残された人々を対象に取り組んできています。
熊本地震の特徴的な事柄の一つとして語られている「車中泊避難」の問題についても、発災直後から車中泊避難者への物資の支援と並行して、夜間および早朝のアンケート調査を行い、5月初旬に調査報告と提言書を熊本県・熊本市へ提出しました。この活動が「車中泊避難」について、国の防災基本計画の見直しに繋がる一因となったのではないかと考えています。
10月からは益城町で被災され「みなし仮設」に入居されている約1400世帯のサポート事業を受託し、戸別訪問を行い現状の把握とともに個別の支援活動を継続しています。みなし仮設に居られる方々の訪問先で、「あの震災さえなければ・・・」と涙ぐまれる方も少なくありません。親族を亡くされた方、全壊で写真1枚持ち出せなかった方、農地が亀裂で使えず収入が途絶えた方など、未だに現実を受け入れることが困難な方々が、少しでも前向きに生きていただけるよう、顔の見える関係を築き、ひとり一人に寄添った支援活動が求められています。
1995年の阪神・淡路大震災から2004年の新潟県中越地震、2011年の東北大震災、2016年の熊本地震と震度7を記録した地震は数年間隔で発生しています。今後何時どこで起こっても不思議ではないであり、熊本での経験を次に活かす為の情報収集と記録等も重要と思っています。
仮設住宅で初めての孤独死が報じられています。現状を踏まえ、中・長期的な支援活動を継続するため、更には「最も小さくされた人々」がひとり一人大切にされる地域づくりを進めるため、社会的責任を明確にし使命を果たす決意も含めて「一般社団法人よか隊ネット熊本」として3月末法人登記が完了しました。一歩一歩前に進めたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。