熊本地震から二年半が立ちました。
現在、プレハブ仮設の自治会支援のお手伝いをさせて頂いているのですが、住民の方から新しい声が聞こえ始めています。
「私たちは、いつまでこの場所(プレハブ仮設)に住み続けることができるのだろう。」
益城町では災害公営住宅の抽選会があったようで、自宅の再建をされず、災害公営住宅に希望を出された方も、一歩一歩、住まいの再建に向けた動きが出始めてきています。
建設はまだこれからということで、公営住宅に引っ越すのはまだ先になりそうです。
そんな中、自宅を再建された方が、一人、また一人と。
先日もあるプレハブにお住まいになっていた、高齢男性の方も、9月下旬には家が建ちここを出られれていくというお話を聞きました。
そんな、喜ばしい話を聞く一方、プレハブ仮設にまだ住み続けらえる方の今後が気になりました。
現在のプレハブ仮設の様子を見ると、駐車場に泊まっている車もちらほら。
敷地内を歩くと「空き家」と張られたところも多くみられます。
「人がどんどん出て行ってさみしい」
そんな言葉も聞かれます。
誰とも接することなく、毎日がたんたんと過ぎていく。
そんな日常を送られている方も、もしかするといらっしゃるのかもしれません。
私たちは、そんな日常にちょっとでも変化を与えるべく、仮設毎に2週間に一度「朝食会」を行っています。
朝のご飯の時間だけでも、ちょっとした安らぎの時間をとってもらいたい。
誰かとの会話の時間をとってもらいたい。
「あなたのことを気にかけている人たちがいますよ」ということを感じてもらいたい。
そんな気持ちからです。
とある別の仮設では自治会長さんからこんなお話を聞きました。
「プレハブ仮設に住んでいる期間は、どうせ2年から3年。そんなに長くは住み続けられない。それだったら、せっかくこの集まったメンバーで、楽しい時間を過ごしていきたい」
プレハブ仮設の環境は決してよくありません。部屋は狭いし、洗濯物を干す場所も十分確保されていません。コインランドリーに行く方も多くいらっしゃいます。
そんな環境の中であっても「楽しく過ごしたい」
これは誰しもが願うことだと思います。
「住まいの再建を!」
熊本の今は、この言葉が多く聞こえます。
もちろん住民さんも、次の暮らしに向けて日々悩み、選択し、次の生活に向けて歩み続けていらっしゃいます。
わたしたち民間団体にとって、「住まいの再建」に向けてお手伝いすることは限られており、時にはお話を聞くだけしかできません。
しかも、月に何度かの限られた時間だけ。
住民の皆様で、お互いが気にかけ、声を掛け合える関係性づくり。
ここのサポートが私たちのできることだと思い、活動を継続しています。
先日は朝ご飯の時間の中から、お米の話になり、農家の話になり、もうすぐお米の収穫の話になり。
「それなら、ここで収穫祭をしよう!」
という話にまでいきました。
うれしいですね。実現に向けて、お手伝いをしっかりがんばろうと思います。
ある仮設では、「新しくプレハブに引っ越してこられた方」が朝ご飯に来ていただきました。
ご飯よりちょっと早い時間にこられ、「何かお手伝いできることはないですか?」と、私達に気を使って下さいました。
朝ご飯の時間では、向かいの席に座られた方と、お互い自己紹介をされたり、料理の話をされたりと。
朝ご飯の時間が、挨拶のきっかけの時間となったことがとてもうれしかったです。
「プレハブ仮設にはみんなの家があって、こうやってみんなで集まれる機会があっていい」
という声も聞かれました。
そんな言葉の中から、ふと、みなし仮設の人たちは、今どんな気持ちで日々を送っておられるのだろう、とも気になりました。
災害公営住宅の話も進み、熊本ではこれから、本格的な人の動きが多くなってきます。
人が動くということは、「新しいコミュニティ形成」です。
知らない人同士が、また顔を合わせ、同じ地域に住んでいく。
関係性が築けるまでには大きなパワーが必要です。住民の方々もここを特に気にされていました。
民間団体としてできること。
朝食会を通して気付いたこと、繰り返してはいけないこと、たくさんの学びがあります。
この学びを、次のフェーズに生かしていきたいと思います。